紙・特殊印刷・
表面加工の種類
紙の種類について
基本の印刷用紙
紙には様々な種類があり、見た目・質感・性質などが少しずつ異なります。
印刷に使用する紙も様々ありますが、まずは、基本となる紙をご紹介します。
上質紙
科学パルプを原料とし、表面をコーティングしていない紙です。筆記性に優れています。インクを吸収しやすく乾きづらい特性があるため、べた塗印刷には不向きです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、神社アイテム、型抜きメモ帳
色上質
上質紙に、色を付けた紙です。こちらも筆記性に優れています。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒
コート紙
表面にコート剤を塗布し、コーティング加工した紙です。印刷適性に優れており、カラー印刷をする際に使用することが多いです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、ファイル・フォルダ、スイングPOP、POP、ミシンフライヤー
マットコート紙
表面を艶消しコーティングしている紙です。コート紙より光沢が抑えられており、サラッとしています。コート紙と比べ、若干暗めに印刷されますが、上質紙よりも印刷適性が高く、こちらもフルカラー印刷に向いています。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、ファイル・フォルダ、スイングPOP、POP、ミシンフライヤー
価格目安
特殊紙
特殊紙とは、上質紙(色上質)・コート紙・マットコート紙以外の紙のことです。
特殊な加工が施されており、見た目が煌びやかなものや、耐水性のあるもの、布のような質感を持つものなど様々なものがあります。特殊紙は数えきれないほどありますので、その一部をご紹介いたします。
クラフト紙
未晒(みざらし)クラフト
クラフトパルプを原料としている紙です。未晒(みざらし)とは、漂白をしていない状態のことで、茶色で強度があることが特徴です。
晒クラフト
クラフト紙を漂白したものです。未晒クラフトと比べると強度は落ちますが、上質紙よりも強度があります。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒
和風紙
奉書紙
厚みのある白い和紙です。祝辞を書いたり、香典を包んだりする際に使われることが多いです。
里紙
表面の凹凸とくすみのある落ち着いた色合いが特徴的な紙です。
白柳
柳の葉のような繊維が特徴的な紙です。
きぬもみ
絹布を揉んだ時のような質感が凹凸で表現されている紙です。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、神社アイテム
透ける紙
トレーシングペーパー
透けており、複写する際によく用いられる紙です。中がうっすらと透けるため、ペーパーファイルや、おしゃれな雑貨のパッケージなどに使われます。
グラシン
ケーキや肉まんの底紙に使用される紙です。最近では封筒の窓に使うプラスチックの代わりに使用されることも増えてきました。ラッピングや封筒に使うとおしゃれです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、ファイル・フォルダ
エンボス
エンボス紙は、表面がデコボコしているのが特徴です。風合いがあるものや、柄になっているもの等、様々な種類があります。紙っぽい印象になるものもあれば、布のような質感に見えるものもあり、コンセプトに合わせて紙を選ぶことでより魅力的なアイテムを製作することができます。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、ファイル・フォルダ
メタル
メタル紙は、金属っぽい見た目の紙です。鏡のように反射するものから、マットな質感のものまで様々あります。高級感を強く表現したい時にはおすすめの紙です。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、POP
キャストコート
キャストコートは、コート紙よりも、光沢感が強くでるのが特徴です。ツヤツヤしておりフルカラーでの印刷に向いています。ツヤ感を強く押し出したいアイテムにおすすめです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、ファイル・フォルダ、POP
パール紙
パール紙はその名の通り、パールっぽい質感の紙です。角度を変えると上品に輝く美しさが大きな特徴です。こちらも高級感が出ますし、上品さや可愛らしさの表現にぴったりです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒、POP
ラメ
キラキラと輝くラメが特徴的な紙です。華やかさや、派手さが特徴的な紙です。こちらも角度を変えることでより輝きます。インパクトを出したい時にぴったりです。
この紙がよく使われるアイテム:
封筒
ユポ
ユポは、水に強い・破れにくい・油に強い等の特性を持ちます。また表面がツルツルしているのに筆記性も高いという特徴もあり、選挙の投票用紙などにも採用されています。ユポ紙と言いますが、主原料はポリプロピレン樹脂と呼ばれるもので、実体としては紙というよりもプラスチックフィルムのような感じです。水に濡れる恐れのあるポスターやPOP等の製作にはぴったりです。
この紙がよく使われるアイテム:
POP
価格目安
板紙
厚い紙のことを板紙と言います。身の回りにあるお菓子や雑貨の箱は板紙でできています。板紙にも様々な種類がありますが、ここではパッケージを製作するのに適した板紙をご紹介します。
コートボール紙
表面はコーティングされツルツルしており、裏面がコーティングされておらずザラザラしているのがコートボール紙です。表面は白色で印刷に適しています。裏面はねずみ色のため基本的には印刷に向きませんが、風合いを生かした印刷を行うこともあります。
コストが安く加工もしやすい所が大きな特徴で、安く作りたい場合や大量生産したい場合に向いています。パッケージを作るうえで基本となる板紙と言えます。
高級白板紙(高板)
表裏に白の塗工を施してある紙です。板紙の中でも比較的高級な紙であることからその名がついています。表裏の両方が印刷適正にすぐれており、写真や高精細なイラストも綺麗に印刷できます。高級感のあるパッケージや、ポストカード、写真集、カレンダー等にも使われることがあります。
特殊板紙(特板)
高級白板紙と比べ、品質の観点では1ランク下の紙です。とはいえ、蛍光塗料を使用しないという特徴があり、食品や薬品のパッケージを作る際に活躍する紙です。こちらも印刷適正があり、高級白板紙よりも低コストでパッケージを作ることができます。
色板紙
色板紙はその名の通り、色がついている板紙です。様々な色があり、印刷無しでも華やかなパッケージを作ることができます。もちろん印刷することで、デザインの幅がぐっと広がります。
クラフトボール
クラフトボールは簡単に言うとクラフト紙の厚い版です。茶色い仕上がりのため、自然な風合いが特徴的です。エコやナチュラルな雰囲気を表現したい場合に適しています。印刷適正は低いですが、風合いを利用したシンプルな印刷でナチュラルさやおしゃれさを表現することが可能です。
アートボール
エンボス、メタル、和紙など特別な加工が施された板紙です。
キラキラしているものや柄のあるものなどがあり、
見た目が美しく高級感をぐっと出すことができます。種類が多く、様々な雰囲気のパッケージが製作できます。
例えば、おせちの箱なら
例えば、バレンタインの箱なら
例えば、クリスマスギフトの箱なら
価格目安
封筒、ファイル・フォルダ、パッケージには、
様々な紙が使用されます。
各アイテムの完成イメージが気になる方はこちらでご確認ください。
特殊印刷について
印刷というと黒1色の印刷や、カラー印刷が一般的ですが、
高級感や特別感を表現できる、特殊な印刷もあります。
ここでは、様々ある特殊印刷の一部をご紹介します。
白インキ
白のインキで印刷します。暗い紙や、クラフト紙に白インキで印刷することで、おしゃれな印刷物を製作することができます。なお、白インキで印刷する場合、文字がつぶれやすくなりますので、小さい文字の印刷は要注意です。
蛍光インキ
蛍光色の印刷を行いたい場合は、蛍光インキを使います。明るい発色が目を惹くため、インパクトのある印刷物の製作に適しています。
ただし、1度刷りでは発色が弱い点や、紫外線にあたると退色しやすい点は注意が必要です。
金刷り・銀刷り
その名の通り、金色や銀色のインキで印刷します。よく似たものに、箔押しがありますが、箔押よりも輝きは控えめで、紙の質感を生かして金や銀の印刷を施すことができます。また、箔押の場合は、表面がすこし窪みますが、金刷り・銀刷の場合はへこみません。
紙の表面加工について
紙の表面加工では、印刷面をコーティングすることで、
見栄えを良くしたり、紙の機能面を強化することができます。
ここでは、代表的な表面加工をご紹介します。
ニス引き加工
印刷面にニスを塗布して色落ちを防ぐ表面加工です。印刷機で加工できるため安価で納期も短いのが特徴です。
質感はグロスとマットがあります。ニス引き加工の中でも種類があり、ツヤ感の強いものや、耐摩擦性が高いものがありますが、PP貼りには劣ります。
一部にだけニス加工をしない部分を作ることもできます。
グロス
マット
PP貼り(ラミネート)
印刷面全体にPPフィルムなどを熱で圧着させる表面加工です。
質感はグロスとマットがあり、強い光沢感や滑らかなマット感を出すことができます。
また、耐水性・耐久性にも優れています。紙本来の質感は無くなりますが、高級感が増します。
耐久性が高くなるため、書籍カバーや雑誌などに適した加工です。
他の表面加工と比べるとコストは高くなります。加工時に印刷物の色味が変わるため、注意が必要です。
グロス
マット
プレスコート
印刷全面に樹脂を塗布して熱と圧で加工します。PP貼りと同様に強く光沢感がでますが、マット感を出すことはできません。PP貼りよりも低コストですが、耐水性・耐久性は少し劣ります。PP貼りと同様に印刷物の色味が変わるため注意が必要です。
箔押し
紙面に接着剤のついた箔を重ねて加熱しながらプレスすることで金属光沢をだす表面加工です。印刷では表現できない、ゴールド・シルバーの光沢感や凹凸感を出せることが特徴です。高級感を出したい時に適した加工です。金だけでなく赤や青などの箔押しも可能で、その場合は光沢感のない仕上がりになります。箔押しの型を作成する必要があるため、印刷データとは別に箔押し加工用のデータが必要です。
エンボス(浮出)
紙を浮き上がらせる加工です。紙の両面から凹凸のある版で挟み込み、浮き上がらせる方法と特殊なインキを厚く載せることで盛り上げる方法があります。前者の方法の場合、極端に薄い紙、厚い紙ではうまく加工できないこともありますが、後者の方法の場合は、どのような素材でも加工が可能です。より立体的なパッケージを作ることができます。
デボス(空押)
片側から版を押し当て紙表面に圧力をかけることで紙をへこませる加工です。箔押し加工をする際、箔を重ねず、直接紙に対して加工をする事をデボス(空押)と呼びます。こちらも、極端に薄い紙、厚い紙ではうまく加工できない場合があります。